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行政情報化の課題といえよう。

振返ってみると、地方公共団体の情報化の進展の動向は、そのときどきの政策課題と情報通信技術の進展を背景として変遷してきた。

1960年代におけるコンピュータの導入を中心とした行政の情報化は、戦後の地方自治制度の改革に伴い、地方自治の近代化が求められ、その具体的な行動指針として、事務改善運動が展開されたことと関係する。

1970年代になると、この動向は小規模団体にも及び、主に、民間コンピュータセンターへの委託により、規模の利益を確保しつつ、行政の効率化を追求してきた。

1980年代になると、第二次臨時行政調査会の答申をもとに行政改革運動が展開され、ちょうどコンピュータの小型化、低廉化、利用の容易化などの情報処理技術の進展により、行政事務のOA化が展開されていったのであった。

1990年代になると、東京一極集中のアンチテーゼとして、活力ある地域づくりが提唱されていった。ちょうど通産、郵政など各省庁の施策として地域へのニューメディアの導入が推進されて、それらの動向に対応し、地方公共団体の共通的課題として、地域情報化に取組まれることとなった。

1990年代後半の動向は、前述のとおりネットワーク化を積極的に取入れ、とかく社会からセクショナリズムだとか縦割り主義だ、などのそしりを受けていたこれまでの仕事の見方・考え方に対して、強く反省を迫るものがある。

地方公共団体における行政の情報化は、これまでの動向も踏まえ、時代に対応した政策課題と情報通信技術に積極的に対応していくことが求められるといえる。

 

(2)窓口サービスの新展開

情報ネットワーク化により、行政の窓口サービスのあり方が、大きく変ろうとしている。これまでの広域的処理は、行政のハードウェアともいえるごみ処理、病院、消防、上下水道、福祉施設等、規模の利益を追求したものであった。

しかし、今後の広域的処理は、行政のソフトウェアともいえる窓口サービスの実現である。住民の手続きに来庁する時間の不経済に注目するなど、外部経済の追求をねらう方向にある。各種証明書の自動交付システムやICカードの導入がなされているのも、これと同様である。

また、国、都道府県、市町村、民間など、団体間の障壁を克服して、統一的なサービ

 

 

 

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